日本では2005年1月から自動車の解体部品の処理効率、リサイクル率の向上を目的する自動車リサイクル法が施行されました。この法律では解体業者に対して処理施設や車両管理方法の厳しい条件が課されています。この結果、ふるーい車、古タイヤをいつまでも山積みにしっぱなしとか、我々のような個人客がヤードに立ち入ってパーツを物色すること受け入れてくれるようなヤードは粛清、淘汰の対象として姿を消しつつあります。私にとっては本当にかけがえのない大切な場所であり、自動車整備の楽しさ、いろはを学んだ思い出の場所でもあり本当に残念です。

中古部品を安く手に入れるというだけであれば、オークションやWEBの普及で解体屋さん以外の選択肢は増えてきています。ただ、あの宝探し的な興奮、ヤードの主とのかけ引きなど解体屋さん独特の醍醐味は他ではなかなか味わうことのできない感覚であり、絶滅の危機が惜しまれます。CARBOYを教科書に育った方には同じ思い出、感慨を抱く方も少ないないと思います。

国内はかようにおさむい状況ですが地球上にはまだこの宝探し的もぎ取りのできる場所が残っていました。自動車社会 + DIY文化 → もぎ取りヤード?、ということでアメリカでは個人ユーザを対象とするもぎ取りヤードがむかしから、そして今でもビジネスとして成立しています。しかも日本のような主の気分しだいで値段が決まる個人経営ヤードばかりでなく、地域にチェーン展開する大規模なオペレーションのものやビンテージカー、特定のメークに特化したヤードなどバリエーションも豊富です。アメリカのもぎ取り専門の解体屋さんを訪ねたときの様子をご紹介します。

タコのマスコット、ヤーモ君がとてもキュートなPICK YOUR PARTというLA近郊のヤード。ヤードに立ち入るには入場料として$2〜$3を払います。入り口横の屋台では足りない工具を調達できるように工具屋の出店がでています。他にも西海岸中心にチェーン展開しているセルフサービスヤードは以下複数あります。ネットで所在地の検索もできますので、カリフォルニアへお出かけの際は是非立ち寄ってみてください。

 

 

 

 

 

 

工業地域に隣接し広大なヤードに整然と並べられた車両群。生産メーカ別にエリアが区分されているので、地図をたよりにお目当ての車のある地区を目指します。もぎとりがしやすいように車は全て馬でリフトアップされ、車と車の間には一定のスペースが確保されています。

オイル、油脂類もあらかじめ抜き取られているので地面もきれいです。

 

油のにじんだ水たまりとその独特の匂い、やぶ蚊、くもの巣、マムシなど日本のヤードで訪問者を待ち受ける光景とは対照的なめぐまれた環境。(あれはあれで探検隊的雰囲気が盛り上がりましたが。)

フロントウィンドウには白いマーカでFor Sale $1000 とあります。不良在庫でヤード送りとなったのでしょうか。うーん。欲しい。。。うーん。何とかしたい。色といい、土ぼこりのかぶりっぷりといい、犯人が逃走に使うのにぴったりですね。

ヤードの外で車両として販売している車もあります。こちらは’69のFORD600で$1500。ブリキのロボットのようなユーモラスな顔つきがたまりません。汗をかきながら一生懸命働いてくれそうです。車両は全て現状販売(AS IS)とあります。

 

 

 

ここはアメリカなので日本車を探す場合には 輸入車 コーナー(IMPORTの看板)へ向かいます。都市部の解体屋さんだと、回転が速いのか、比較的高年式の車が中心になっているようです。たまに写真のような70年代後半の車両があるといった感じでしょうか。目にとまった車を紹介します。センタのホイールキャップやステンレスのリングも完備のGTホイール、5マイルバンパー、ドアミラー。持って帰れないのが残念。

 

日本では希少な2ドアセダンですがアメリカでは一般的なスタイルとして定着しています。ボディのやけ具合、色のあせ具合も申し分ございません。このまま買って帰り、未再生原型車として乗り続けたい一台です。隣の車のエンジンフードがのっかっていますが、これをサーフボードに変えてサーファーの方に乗っていただきたい。グリルにターンシグナルが埋め込まれるのが日産の北米仕様の流儀でした。

 

テールゲートにエアのアウトレットがある前期240.。日本ならまっさきにもがれるであろうテールレンズ、リアガーニッシュ、バンパーなどが無傷で残っていました。

パーツの値段は車種や年式に関係なく、部品の種類で決まっています。例えば、テールランプASSYならどの車でも$20。これにEXCHANGE(使えなかったときに交換できる)とかWARRANTY(製品保証)とかのオプションもあり、それらをつけ

ると2割とか3割値段が高くなったりします。出口のところに精算カウンタがあって、そこで支払のときにたずねられすので、断るのが肝心。上のような初代Z−CARの240はさすがにヤードでもそんなに頻繁には見かけなくなってきているとのこと。Zに関しては5マイルバンパーが目印のこのタイプの280やZXと呼ばれる130が収穫期のようでした。

 

そしてヤードは続く。。。。。ヤードの各所にはトイレも設置。個人的には下手なカーショウよりもよっぽど萌えました。。。

しばし、かつての興奮を味わうことができました。今度くるときはお弁当でも持ってじっくりと取り組みたいと思います。でも、はずしたパーツはどうやって持ってかえればいいんでしょうか。。。旅行代理店の方、共同利用コンテナチャータ付き格安もぎ取りツアーの企画をお願いします。。

 

ちなみに、JUNK YARDという呼称は正式なものでなく、軽蔑的な響きもあるようで業界の方には好まれません。解体業者という意味ではAUTO DISMANTLERとかAUTO RECYCLERという呼称が適当なようです。また自分でもぎ取るヤードは SELFSERVICE AUTO DISMANTLERとかSELFSERVICE YARDとか呼ばれているようです。検索の際の参考としてください。

(終わり)